19xx年5月11日(金)曇り後晴れ
目覚めた。
今日は図書館で何か為になる面白い本を気の済むまで読みたい!
なぜかそんな思いがあった。
起床前、寝袋の中で仰向けになったまま、この中村市でもう一泊して行こうかという気持ちに傾き掛けた。
起床。朝食を取っているうちに、読書のためだけに出発を一日遅らせるのは時間の無駄使いに過ぎないと思えてきた。
出発しよう。
今日は足摺岬へ行くのだ。
* *
寝袋に入ったままでラジオ講座を聴いていた。
終了と同時に、午前7時50分、起床。
午前8時55分、出発。朱色の鉄橋を渡って左折、中筋川と渡川との間の舗装道路を走って行く。国道32号線。
暫くは川沿いの平坦な道を走る。
両側に山を見ながら、前にもこんな風景があったなあ、
どこだっただろう? そうだ、紀ノ川沿いを走った時もこのような気分であった。思い出しながら走っている。
どういう気分だったか? 空は曇っている。雨がこれから降り出すわけではない。でも曇っているということで何か不安な、晴れない、何か不安定なのだ。
国道321号線は舗装されていた。でも狭い道路だ。しかもカーブが多い。段段と山の中へと入って行くのが分かる。
午前9時45分、伊豆田峠へと登って、土佐清水市へ入る。
ずっと舗装が続くと思っていた。間違いだった。
道路工事中のガタガタ道,ダンプカーやらトラック、特にダンプカー、そしてバスが反対方向から来ると、こちら側は立ち往生するしかない。大型車が大手を振るって通過して行くのを見守っているだけ。
通過した後にはもう逃げようにも逃げられない程、大量の土埃を辺り一面に舞い散らす。頭から足の爪先まで全身、諸に土埃を被ってしまう。
しかも、しかもだ、これを「泣き面に蜂」というのだろうか。同じ進行方向へと後方から来る車、来る車ごと、殆ど例外なしにクラクションを鳴らしている。
そこ退け、そこ退け、早く退けろと恰も運転手はその音を楽しんでいるかの如く、警笛を鳴らしながら、苦々しくも脇を通って行く。
鳴らさなくてもそのまま通って行けばいいものを、と思っているのに、そんな思いは後方には伝わらないようだ。
こっちだって自転車運転に一生懸命なのだ。この旅人はサドルに腰掛けて、後方の車が追い越して行くのを待っている、その間は両足を地上に下ろし、腹も立ちっぱなし。
「自動車」に乗る人の感覚と「自転車」に乗る人の感覚との違いなのだろうか。同じ「車」だが、自動「車」は少し横柄過ぎるようだ。
自転車はガタガタと振動を尻に響くジャリ道、ビシャビシャのぬかった道、転倒しないように慎重に進んで行く、グニャグニャの道、こんな道路が日本にはまだ、いや、時々あった。しかも後からは追い立てるかのように車が続いて来る。変な道を選んでしまった。
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