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11.足摺岬に来た。

 
 午前10時55分、大岐の浜を見ながら走って行く。

 午前11時23分、足摺まではあと18km、龍串まではあと13kmの分岐地点に到達。
 多分、そこは以布利だろう。


 足摺岬への道が3通りある。
 スカイラインを利用せず、窪津経由の海岸線を走って行く事にした。
 自動車一台が通れる幅の舗装道路であった。
 殆ど上り。グニャグニャの道路。
 木々の繁った道、変化の豊富な道も良いものだと思いながら走って行った。

 が、岬はまだだろうか? まだだろうか? 
 海岸線を確かに走っているのだろうが、海は見えず、山の中を走っているような感じ。

Ashizuri_Cape_1.jpg



 正午30分、約1時間強を走った後、国民宿舎「あしずり」横へと出て来た。
 乗用車が数台、前方に駐車している。

 岬に来たことを感じさせる。
 目を上げると、銅像、中浜万次郎の像があった。
 この人、誰? 

 観光案内所脇に自転車を置いて、展望台に行ってみた。
 深そうな海だ。

 足摺岬に来た。だからと言っても、どうという程の感慨もなかった。
 なぜか、何も知らないからだろう。
 何も観光の旅をしている自分ではないのだ。
 それでは何の旅をしているのか。

 展望台から戻って、昼食持参で今度は燈台に来る。
 白い燈台を後ろに感じながら、
 マヨネーズを取り出し、食パンに塗りたくり、3、4枚食べた。

 自転車を運転して行けるエネルギーを得るために、
 腹を空かさないために食べている。食べる喜びはない。
 機械的だ。習慣的だ。
 簡単に持ち運びが出来るものであり、重荷にならなければ良いと思って持ち運んでいる。
 マヨネーズと一緒に行く四国一周の旅を実行中なのだ。
 脳裏の隅では興醒めている。


 室戸岬を訪れた時と違って、人も少なくゆっくりと見物しようとすれば出来たことであろう。
 が、ここ岬に来るまで、狭い道路を幾度となく曲がったり上ったり下ったりして来た結果、
 帰りも同じくらいの時間が掛かるだろうと考えて、
 しんどい道程が続くだろう、もう疲れた、
 ということで遊歩道をゆっくりと辿ることは割愛した。
 急ぎ足になってしまう。
 どうしてだろうか? 
 浮き足立っている! 
 どうしてだ??


 岬にやってきたことを何かはっきりとした形で残しておかなければならないと
 感じていたからだろうか。
 午後1時50分、後ろ髪を引かれるように感じながらも出発だ。
 これからは戻って行くのだ。
 今来た道を戻って行く。
 だから気も楽だ。
 殆ど全線、下り坂であった。
 がけ擦れ擦れに走ったり、
 海を見たり、また道路を進んでゆくタイヤの回転を見ながら走っている。
 上半身は裸。





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タグ:足摺岬